建物だけでなく地域を再活性化させるプロジェクト
中古マンションの再生流通事業を手掛け、業界の草分け的存在であるインテリックスは、東京・台東区の鶯谷で、新しくホテルを開業することを発表し、2019年12月に内覧会を行いました。
同社が新たにオープンするホテル「LANDABOUT(ランダバウト)」は、地域系金融機関の移転に伴い、その跡地を地域のために有効活用できる事業者として、同社が取得し、鉄骨造陸屋根15階建て、客室数169室、延床面積3497.51平米のホテルとして開設しました。
同社では、今回のランダバウトについて、地域をリバイタライズ(再活性化)するプロジェクトとして進めてきました。従来のホテルは、地域の一等地にありながら、地域の人々にとっては活用する機会の少ないものでしたが、ランダバウトプロジェクトは、地域の住民とホテルに滞在する客が交流し、国内外を問わず多様な人々が東京の拠点として利用する、身近で新しい出会いの場を目指しているということです。ホテルの共用施設である1階のカフェ・ダイニングバーは、地域の人々に開放し、映画上映会やコンサート等のイベントを企画しています。宿泊客や観光客だけの場所となりがちなホテルのグランドレベルの空間をオープンにすることで、多様な国籍や世代の交流の場として、単なる飲食店にとどまらない魅力を地域に発信していきます。
また、ホテルスタッフが旅をしながら出会った全国10県の農家から直接届く野菜やフルーツ、加工品を販売する「ランダバウトマーケット」を毎月開催し、宿泊者、地域住民が気軽に参加し楽しめるイベントとして開催します。ホテル内には「コミュニティマネージャー」と呼ばれるスタッフを常駐させます。これは、地域の様々な情報を収集し、宿泊客の旅のプランニングをサポートしたり、またガイドとして一緒に出歩いたり、SNSに情報をアップしたりと、地域と世界とをつなぐポジションとなります。同社では将来的には、地域住民にもコミュニティマネージャーを担ってもらうことを計画しているということで、ランダバウトが地域住民や宿泊客にとって、街の見方を変える「エリアリノベーション」の旗印となることを目指しています。
住まいだけではない新たなリノベ事例
既存の建物一棟をまるごとリノベーションする事業を得意とするリビタでは、専有部のリノベはもちろんのこと戸建住宅や、シェアハウス等、様々な形態のリノベ事業を行っています。2018年に同社がリノベーションしたのは築39年のオフィスビルです。リノベオフィス「12SHINJUKU(ジュウニシンジュク)」の元々の建物は、新宿駅前という好立地にありながら、フロア面積が狭く、旧耐震物件ということで、空室だらけであったということです。そこでリビタでは、既存の建物に耐震補強を実施、シェアオフィスへと改修し、「12SHINJUKU」を開設しました。一般的なオフィスには見られない、LDKやキッチン、畳ルーム等、オフィスでありながら住まいの機能を持たせることによって、入居者が新しい働き方や暮らし方を知り、実践できる場を提供しました。
ただ働く場ではなくコミュニケーションを誘発し、「暮らすように働く」ことを可能にした新しい働き方を提案しています。オフィス区画は100平米超～フリーの1人席まで、大小様々な区画を混在させることで、職種や規模に縛られない入居者同士の交流が生まれているということです。また、ビル8階にあるシェアキッチン、ラウンジ、イベントセミナースペースは、入居者以外のレンタル利用も可能ということで、ワークショップ、展示会をはじめ、大きなキッチンを活かした食のイベント等、多くの人々のコミュニケーションの場となっています。同物件は早期に満室入居を達成したということで、リビタでは今後も、これまでに培った遊休不動産の活用提案力、コミュニティ醸成の企画力や運営ノウハウを活かし、オフィスストックの再生、活性化を行っていくとうことです。
（情報提供：住宅産業研究所）
