前回は犯罪などから住まいを守るための
防犯仕様の住宅設備について紹介しました。
今回は災害から住民や住宅を守ったり、
災害が発生した後に迅速に復旧し日常生活を取り戻すために
住宅会社が行っている取組みについて紹介します。
賃貸住宅にも広がる防災対策
大東建託は、災害時の在宅避難に着目した災害配慮型賃貸住宅
「ぼ・く・ラボ賃貸 yell」を2022年10月に発売しました。
大東建託では、2017年4月に立ち上げた防災プロジェクト
“防災と暮らし研究室「ぼ・く・ラボ」”の一環として、
日常の暮らしが非常時の備えにもなる「フェーズフリー」な
賃貸住宅の開発に取り組んでいます。
「ぼ・く・ラボ賃貸 yell」は、
2022年３月に販売を開始した水害対策に特化した商品
「ぼ・く・ラボ賃貸 niimo」に続く第２弾の賃貸住宅商品です。
同商品は、災害時に求められる「自助・共助」の必要性と、
コロナ禍を背景とした「在宅避難」へのシフトを課題として設定し、
地域の防災力を向上させるために「備蓄」と「コミュニティ形成」を
コンセプトに開発されました。
各住戸に設けたサンルームとバルコニーは、
外部とつながる窓辺に自然と居住者の意識が向くように
従来商品よりも広くくつろぎやすい空間として設計。
住民同士のコミュニケーションのきっかけづくりを促し、
災害発生時に助け合う「共助」の力を創出します。
また随所に収納スペースを設けることで、
従来商品の2倍の収納量を確保し、
備蓄品の収納のほか普段使いの快適性も高めています。
さらに公助に頼らない自主防災力の強化に向けては、
地域住民にも役立つ防災オプションを用意しています。
太陽光発電設備と蓄電池を設置する「DK-ZEHα」は、
災害などによる停電時に非常用電源として
地域にも役立てることができます。
また、地域住民も利用可能な軍手やブルーシートなどの
防災アイテムが入った「防災備品ボックス」を
エアコンの室外機の横に設置することも可能ということです。
同社では、今後も「ぼ・く・ラボ」を通じて
賃貸住宅における防災意識向上の取り組みを推進していくということです。
損傷ランクを推定し早期復旧へ
旭化成、旭化成ホームズ、防災科学技術研究所は、
共同で開発を進めてきた防災情報システム
「ロングライフイージス」において、
ヘーベルハウスとへーベルメゾンを展開する全エリア（21都府県）
をカバーする地震被害推定システムを完成させ、
２月より旭化成グループ内での運用を開始しています。
「地震被害推定システム」は、
東京ガスネットワークや防災科学技術研究所のサーバーからの
地震情報と建物の構造データを掛け合わせることで、
地震発生後10分から２時間程度でヘーベルハウスとへーベルメゾンの
建物別に被害レベルや液状化の発生状況を
把握することができるシステムです。
被害状況や建物損傷度を正確に把握するため、
独自に５段階の損傷ランクをしました。
地震の際に建物に瞬間的に生じた最大の傾きから
被害状況を早急に把握し、緻密にランク分けすることで、
復旧対応の優先順位付けが可能となります。
具体的には、構造体の損傷、外壁のひび割れ、
クロスなど内装材の損傷被害など、
それぞれの部位の損傷被害に対応する５段階の損傷ランクを
「地震被害推定システム」を用いて推定します。
これにより損傷ランクの大きい建物から復旧対応をすることができ、
復旧工事の早期終結や、
被災した顧客からの対応依頼や問い合わせに関する
受架電の本数削減などにつながります。
「地震被害推定システム」で得られる高密度な地震動情報は、
一般の個別建物や構造物、インフラ施設などに関する即時の被害推定や、
将来の地震被害想定にも応用できる可能性があるということです。
そのため、今後は同システムから得られる知見を、
水害の被害想定システムの構築や、
災害時にSNSなどを活用してリアルタイムで情報共有できる仕組み作り、
さらには防災に関する異業種協業などの検討を通して、
世の中のレジリエンス向上を目指すとしています。
(情報提供：住宅産業研究所)
