「在宅避難について考える」商品・トレンド
2023年は関東大震災から100年の節目の年でした。
2024年は残念ながら元日から令和6年能登半島地震が発生し、
多くの方が被害に遭われました。
南海トラフ地震も近いうちに高い確率で発生すると言われており、
住まいの防災・備災は今後ますます強化していきたいテーマの1つです。
今回は防災の選択肢として注目度を上げている
「在宅避難」について紹介していきます。
潜在ニーズの高い在宅避難、今こそ提案に取り込むべき?
そもそも在宅避難とは、
災害が発生した際、自宅で身の安全が確保される場合に、
避難所に向かわずそのまま自宅で避難生活を送ることを言います。
被災時に在宅避難が選択できれば、避難所での共同生活が避けられ、
慣れない場所で過ごすことやプライバシーの問題から
発生する負担を軽減することができます。
積水ハウスが発表した「防災に関する調査(2023年)」の結果では、
在宅避難の意味を「知っている」と回答したのは34.8%、
「聞いたことはあるが意味はわからない」と回答した人が29.2%、
「知らない」と答えた人が32.4%。
その後、在宅避難について説明した後は、
84.8%の人がもしもの際は「在宅避難を選びたい」と回答しています。
在宅避難という考え方の認知はまだそこまで広くないようですが、
潜在的なニーズは高いことが分かります。
このようなこともあってか、
在宅避難に役立つ住宅設備・建材は充実してきており、
ここからはその一部を紹介していきます。
被災し、停電が起きた場合にあると心強いものが太陽光発電システムです。
主流である住宅の屋根に搭載する太陽光パネルの他、
最近はカーポートと組み合わせたようなものも散見され、
さらに蓄電池がセットとなったものも見られます。
例えばUpsolar Japan(株)の「Trinity」はカーポートと太陽光、
蓄電池がセットの商品で、停電時にも電力の使用を可能とします。
家庭用燃料電池「エネファーム」も、
名が知られている停電対策の1つでしょう。
エネファームはガスの供給があれば、電気とお湯の供給を可能にします。
災害時にあれば安心なものとして、貯水タンクも挙げることができます。
(株)テクノフレックスの「マルチアクア」は、
施工が簡単な水道直結型の貯水タンク。
容量は36リットル、60リットルのものがあり、
1日に必要な飲用水は1人3リットルとされているため、
36リットルのものでも4人家族で3日間分を貯水することができます。
これらの他にも在宅避難に役立つ設備としては、
EVやシャッター、節水型の水廻り設備など様々なものが挙げられます。
大きな災害への心配が高まる今、自社の提案を見直して、
在宅避難のための提案を取り入れることは大切でしょう。
住宅会社の在宅避難提案
ここからは住宅会社の在宅避難の提案を紹介していきます。
セキスイハイムは以前から在宅避難に力を入れており、
2019年から「移動手段、電力、飲料水の確保で在宅避難が可能な住まい」を
提供しています。
これは、太陽光発電システムと蓄電池、
EVを接続するVtoHスタンドの3つの機器を、
一つのシステムとして連携させるトライブリッドパワコンや、
飲料水貯留システム等を導入したものです。
また同社は、在宅避難であれば大切な家族の一員である
ペットも安心だと訴求しています。
大東建託は、在宅避難に着目した災害配慮型賃貸住宅
「ぼ・く・ラボ賃貸yell」を発売しています。
この商品は備蓄をサポートする各種アイテムと、
住民同士のコミュニケーションのきっかけとなり
地域防災を後押しするスペースを備えています。
また、災害発生時には
非常用電源にもなる太陽光発電設備と蓄電池を設置できる
防災オプションの用意もあります。
アイダ設計は災害時の在宅避難がよりしやすくなるよう、
オプションパック商品「非常用電源自動切換システム」を発売。
このオプションパックは
「太陽光+住宅用給電セット+屋外コンセント」がセットになったもので、
停電時には給電方法を
自動車のACコンセント・太陽光発電・発電機から選ぶことができます。
また、あらかじめ設計した5系統に送電が可能なため、
そのまま屋内コンセントから電気を供給でき、
災害時でも住み慣れた自宅で安心して家族と過ごせるようにしています。
この他にも、シェルター付の住宅を提案するような会社も現れてきました。
神奈川・東京で総合建設業を手掛ける
工藤建設はシェルター付地下室住宅「SAFeREE MODEL」を発売。
耐震性に優れ、温度の変化が少ないという特性を活かして
地下室を避難所とし、シェルター機能を取り入れることで
危険を回避する独立したスペースを確保しています。
住宅の防災に関することは訴求の方法が様々ありますが、
前提として家を「どこに建てるか」も大切な要素です。
お客様の安全ため、
地域のハザードマップなどを確認しながら
提案を行うことも忘れないようにしましょう。
(情報提供:住宅産業研究)