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2023年03月07日

「パッシブ設計 はじめの一歩」太陽光/省エネ/ZEH関係

mba


先週はパッシブ設計の基本となる考え方を紹介しましたが、
今週は一歩踏み込んで、より具体的な考え方や設計手法を紹介していきます。
パッシブ設計は夏場における考え方と冬場における考え方が
違うため、それらを分けて解説していきます。

パッシブ設計~夏の考え方~


当然のことですが、夏場を快適に過ごすために大切なことは、
どれだけ居室を暑くしないかです。
そのためのパッシブ設計のポイントは、
「いかに太陽光を遮るか」と「いかに風を利用するか」
の2つです。


まず「いかに太陽光を遮るか」についてですが、
最も効果的な手法は日射を窓の外側で遮ることです。
窓からの日射を遮るものが何もない場合、
熱の侵入率は約80%とされていますが、
窓の外側で日射を遮る場合、
熱の侵入率は20%以下とされています。


夏場は太陽高度が高いため、庇を大きく出し、
窓の外で日光を遮るというのが、
夏季におけるパッシブ設計の基本的な考え方です。
また、設備メーカー各社が出しているシャッター、
外付けシェードなどを利用し、
窓の外側で日射を遮るのも良いでしょう。


蔦などの植物を這わせたグリーンカーテン、
日本古来の簾やよしずを用いるのも効果的です。
外部での日射遮蔽が難しい場合は、
窓の内側にブラインドやハニカムサーモスクリーンを
設置するだけでも日射の侵入率は変わります。


ブラインドであれば熱侵入率は50%以下、
ハニカムサーモスクリーンであれば
40%以下に抑えられるとされています。


「いかに風を利用するか」については、
具体的な設計手法を解説する前に、
風(空気)の特性を理解しておかなければなりません。
その1つ目は、風は入口と出口がなければ流れないということです。
どちらか片方だけでは空気が滞留してしまいます。
2つ目は、暖かい空気は上に行くということです。


これらの空気の特性を利用して、通風や排熱を行い、
室内を快適な温度に保つようにしていきます。
通風の面ではまず、外で吹く風を捕まえて、
室内に空気を取り入れる必要があります。


建設地の風が流れやすい方角には、
縦すべり窓を設けて風を捕まえられるようにしましょう。
開口部付近に建物凸部などを設け、
それをクッションにして室内に風が入るようにするのも効果的です。
これが風の入口となります。


そして前述したように風が抜けるためには出口も必要ですので、
出口となるサッシも設けるようにしましょう。
これで風が流れるようになります。


パッシブ設計ではリビングなど生活の主空間を
吹抜とすることが推奨されています。
これは冬季に日射を効果的に取得するため、
また、暖かい空気は上に行くという特性を利用し、
夏季に効果的に排熱を行えるようにするためでもあります。


吹抜の上部には高窓などの空気の出口を設け、
熱を持った空気を排出できるようにすると
快適な室温が保たれやすくなります。


パッシブ設計~冬の考え方~


冬場におけるパッシブ設計のポイントは、
「いかに日射熱を取得するか」です。


日射熱は実は非常にエネルギーが大きく、
一般的な掃き出し窓から入ってくる熱量は約1,200W。
この数値は一般的な赤外線ヒーターの
強運転よりも大きな熱量です。


これを利用するため、
パッシブ設計では昼間に日が差す南面に主たる居室を置き、
開口面積を多く設けることが基本とされています。
吹抜を利用して開口面積を大きくすれば、
より効果的に日射を取得できます。


サッシのガラスは遮熱型ではなく取得型にし、
積極的に太陽熱を室内に取り込むようにします。
補足とはなりますが、夏場は太陽高度が高いことを利用して
庇などで日射を遮りますが、冬場であれば太陽高度が低いため、
庇があっても太陽光が室内に入ってきます。


このように季節による変化を利用した提案としては、
落葉樹を庭に植えることも効果的です。
落葉樹であれば夏は茂って日を遮り、
冬は葉を落とし日射を取り込むことができます。


この手法は日射取得/遮蔽という側面だけでなく、
庭との一体提案も可能になるので、
提案力の更なる向上に繋がります。


ここまでパッシブ設計の具体的な手法を紹介してきましたが、
パッシブ設計においてなにより大切なのは地域特性の考慮です。


例えば冬場の日照時間がわずかであるのに、
南面に開口を多く設けても効果がありません。
その場合は熱の侵入、損失の多くを占める開口部面積を極力小さくし、
守りに徹するという選択肢もあります。


その場合でも、
「この地域はこのような特性なので、建物がこの形になっています」
と伝えることができれば、お客様の納得度は上がるでしょう。


また、今回紹介したパッシブ設計の手法はあくまで一部です。
より突き詰めるのであれば熱の取得量と損失量、
どちらが大きいか計算したり、日射のシミュレーションを行ったりと、
するべきことは沢山あります。
現在住宅業界は波乱の中にあり、
今回紹介したパッシブ設計だけでなく、
各社が創意工夫をし、勝ち残りを目指しています。


これを機に住宅業界が成長を遂げ、
より良い方向に進んでいくことを期待したいものです。


(情報提供:住宅産業研究所)

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