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2015年12月14日

制度開始から4年、サ高住の現在地(後編)業界ニュース,市場動向

前回は、賃料を引き下げることで入居者を集め、介護や医療といったサービスで収益を上げるビジネスモデルについてご紹介しました。

このように収益においてサービスへの依存度が高まると、それに比例して抱えることになるのが制度リスクです。これら介護や医療のサービスの多くが介護保険や保険診療といった厚生労働省が定める保険制度に沿って提供されています。例えば介護保険では・・・

「訪問介護」で
「2人の介護職員」が
「20分未満」の
「身体介護」を
「深夜」に行った場合は

495単位(約4,950円)など、
サービスの提供内容に応じて細かく価格が設定されています。


こうした価格設定を含め、保険診療であれば2年ごと、
介護保険であれば3年ごとに制度の見直しがされています。


例えば2014年度の診療報酬改定では、
同一の建物内において
一日の中で
複数の患者に対して診療行為を行うと、

診療報酬が最大で4分の1に減額されるという変更がありました。


1人の患者を診た時の報酬が100あるとすれば、
2人目以降は25になるというものです。


もちろん減額の要件は様々で、
一律で4分の1に引き下げられたわけではありませんが、
これにより経営悪化や開設予定の見直しも
多く発生したと言います。


もちろん制度も締めつけるばかりではなく、
在宅医療や終末期医療を手厚くするなど内容は様々ですが、

社会保障費を抑制しようという国の基本的な方針がある以上、
医療・介護サービスの収益に大きく依存した事業モデルは
危険だと言えます。


このほかサ高住は、
新築で建築費の10分の1、
改修で3分の1となる補助金を得ることが可能ですが、

この補助金が今後なくなることになれば、
元々採算が厳しいサ高住の供給が更に減少すると言われています。


以上のような状況から、
物件として利益が出にくく、
国が定める制度に事業が依存しやすいという特性から、

アパートでは一般的な物件の借り上げも
ほとんど行われていません。


よって現状の住宅会社の関わり方は
「サ高住の運営や借上げなどリスクのある事業には手を出さず、
設計・施工だけを請け負う」というものが大半となっています。


■ サ高住トップ企業戦略
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

サ高住の施工業者は公開されていないため、
業者ごとの詳細な着工数は不明ですが、

年間の登録数は1,000件程度となっており、
その中で年間80~90件を受注する
大和ハウスや積水ハウスはサ高住においても
トップメーカーだと言えます。


大和ハウスでは、商業施設や店舗を手掛ける流通店舗事業部、
事業施設を手掛ける建築事業部、
アパートを手掛ける集合住宅事業部など、
異なる3つの事業部がそれぞれサ高住を手掛けています。


中核を担う建築事業部では、
医療法人や介護事業者など、
事業者側から開設したいという話が持ち込まれることで
商談がスタートすることが多くなります。


ここ最近は2014年度の診療報酬改定によって、
入院患者7に対して看護師1の体制である
7対1入院基本料の算定要件が厳格化されたことで、

入院患者を抱えられなくなる7対1病院に対して、
退院する患者の受け皿となるサ高住の提案を強めています。


また流通店舗や集合住宅では
土地オーナーに対する土地活用提案がメインであり、
積極的にサ高住をアピールするというよりも、

あくまでサ高住は土地活用の
メニューの一つという位置づけとなっています。


元々要介護型のサ高住は、入居者が出歩かないため、
立地は郊外の不便な場所でも良いとのメリットがありましたが、

このところは不便な場所では入居者も
スタッフも集まりにくくなってきているそうで、
要介護型のサ高住なら立地が悪くても運営可能というのは
やや安易な見方になりつつあります。


一方積水ハウスでは積和不動産で借り上げ・管理する
アクティブシニアに向けた物件「グランドマスト」と、
設計・施工だけを請け負う物件の2種類があります。


積水ハウスが注力するグランドマストは
前編で触れたような高付加価値型の物件で、
駅近や生鮮3品側、上質な内外装、広い室内、
美味しい食事といった要素をウリにした物件です。


付加価値を高めた元気なシニア向けのサ高住は、
立地要件が極めて限られる一方で、
現状供給している物件が極めて少なく、
競争相手が少ないことはポイントと言えます。


以上、サ高住の現状について触れてきましたが、
サ高住の登録数が大きく落ち込んでいる割には、
住宅会社の受注は横ばい推移、
地域ビルダーについては増えているとの声もしばしば聞かれます。


今後高齢者のための住まいがより必要となっていくのは確実で、
その供給の中心的な役割を担っていくのは
「住まい」としての視点を持ち続ける
住宅会社なのかもしれません。

(情報提供:住宅産業研究所)

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