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台風・地震、多発する自然災害に対応する住宅ハウスメーカー

業界ニュース
2019.6.17

前回は、日本人の防災意識や、防災を継続する工夫を取り入れた住宅の新商品をご紹介しました。今回は、既存住宅に搭載された蓄電システムの災害時の稼働状況や、あらゆる天候状況でも「安全・安心」な暮らしを提供する防災配慮型住宅をご紹介します。

自然災害時の蓄電システム稼働状況


積水化学工業は、2018年9月に相次いで発生した北海道胆振東部地震、台風21号、台風24号によって大規模な停電が起きた時に、同社のスマートハイム住宅に採用された蓄電システムについて稼働状況を調査し発表しています。北海道地震、台風21号、同24号の発生により、被災地域では合計約775万戸の停電が発生しています。最大停電時間は、北海道地震で約50時間、台風21号で約120時間、同24号では約70時間に及びました。被害が発生したエリアにおいて、同社のPV、HEMS、蓄電システム搭載住宅のうち1391戸で蓄電システムが稼働し、昼夜を通じて電気がある暮らしを提供できたということです。

HEMSデータの分析によると、最大約4日間の長期停電の間、PVと蓄電システムで電力が確保できた事例もありました。また、蓄電池を搭載した住宅では、5kWhのコンパクトな蓄電池を搭載している住宅でも約2日間に渡り、夜間を含め蓄電池から電力が供給されたことが分かっています。さらにV2Hシステムを搭載した住宅では、電気自動車に搭載された大容量蓄電池によって、空調だけでなく、給湯器やドライヤー、IHクッキングヒーターを含めた調理機器の使用も確認できており、停電時でも日常に近い生活を確保できることが分かりました。

一方で、台風21号による長期停電の間、PVの容量が大きくないケース、大量の電気を使用したケースなどでは、蓄電池の充電が不足したという事例も見られたということです。そこで、同社では台風24号の上陸に備え、事前に被害が予想されるエリアに「PV・蓄電池の使い方説明メール」を送付することで、居住者が蓄電池の残量を多く残しておくといった停電に備える対策を取ることができたということです。同社では、今後もスマートハイムの普及とともに、より多くのお客様に設備を使いこなしてもらうための取り組みを進め、安心な暮らしの提供に努めていくということです。


全天候型システムで雨天にも対応した防災配慮住宅

大和ハウスでは、自然災害時における一次災害だけではなく、二次災害に備えた防災配慮住宅「災害に備える家」を4月1日に発売しました。災害に備える家は、雨天でも約10日間の電力供給や暖房・給湯を確保できる「全天候型3電池連携システム」を採用しています。太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を、新たに開発した「切換盤」で連携させ、停電時にエネファームの発電電力を、家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄えるほか、家庭内で使うことができるようになりました。一次災害に伴う停電時には、家庭用リチウムイオン蓄電池が非常用電源として、生活に必要な電力を供給します。停電が長期にわたる場合には、エネファームが発電する電力を家庭内で使えるほか、リチウムイオン蓄電池に蓄えることで雨天でも約10日間の電力と暖房・給湯を確保することができるということです。

構造面では、新開発の耐力壁「キュレック」を搭載しています。キュレックには、同社の主力戸建住宅商品である「xevoΣ」に採用されている「Σ形デバイス」が2ヶ所設置されています。これにより、従来の「xevoΣ」と比較し、巨大地震時の建物の揺れを最大で2分の1に抑えることができるということです。また、飛来物の衝突による割れに強い「防災瓦」、「防災防犯ガラス」を採用しており、台風など暴風時の飛来物による衝撃を吸収することで、破損を防ぎます。防災瓦は、一般的な陶器製平瓦と比べて重量が2分の1以下のため、地震の揺れも軽減できるということです。

さらに、合わせガラスの中間膜の厚みを、「防犯合わせガラス」の2倍に強化した「防災防犯ガラス」を採用したことで、飛来物の貫通を防ぐとともに、災害時にガラスの破片による怪我や、居住困難などの二次災害を防ぎます。同社では住宅のプランニングについても防災配慮型プランを提案し、災害時の居住者のストレスの軽減を図っています。夜間の停電時には安全に家族が集まれるように、リビングなどの主たる居室に電力・暖房を供給し、テレビで災害情報を得ながら家族が寄り添って就寝できる「musubiコーナー」を配置しています。また避難時の動線には「保安灯」を設けることで、避難経路の明かりを確保しているということです。大和ハウスでは、「災害に備える家」を、沖縄県を除く全国で販売し、年間販売目標を160棟としています。


(情報提供:住宅産業研究所)

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