大手ハウスメーカーのM&A施策
■国内では地方ビルダーと事業提携へ
ここ数年、ハウスメーカーによる企業買収や
資本提携などの動きが、国内外で活発になっています。
国内のこれまでの流れを振り返ると、
2010年代にあったのがゼネコンを対象とするM&Aです。
大和ハウス工業は2013年にフジタを完全子会社化。
積水ハウスは2015年に鴻池組と業務資本提携を
締結した後に2019年に連結化。
そして、住友林業は2017年に熊谷組と業務資本提携。
といったところがインパクトの大きい出来事でした。
そして、この数年はというと、
地域ビルダーなどとの提携や買収が増えています。
例えば、旭化成ホームズは昨年10月、
ログハウスのBESS ブランドでも有名な
アールシーコアと資本業務提携を締結しました。
東京都内などの都市部にて
一定のシェアを持つ旭化成に対し、
アールシーコアは郊外型のログハウスや
自然志向の提案が特徴の企業です。
対照的な商品コンセプトを持つ企業同士ですが、
ライフスタイルにこだわりたいユーザーに対する
暮らし方提案が得意という点においては共通しており、
今後、両社間でどのような
シナジーが創出されるかに注目です。
セキスイハイムを手掛ける積水化学工業は、
この1年間で複数件のM&Aを行っています。
1つ目は、神奈川県の総合不動産会社
ベンハウスの完全子会社化です。
ベンハウスは土地仕入、造成、
販売までを行っている企業で、
木造軸組工法を主軸として、
狭小地での建築のノウハウもあります。
一方、セキスイハイムはユニット工法が有名ですが、
このユニットの現場搬入がボトルネックとなって
都市部狭小地に適さないという事情がありました。
つまり、ベンハウスの都市部戦略は
セキスイハイムにはない強みです。
今年に入ってからは、1月に北海道の
アーキテックプランニングを完全子会社化。
こちらもユニット工法と木造軸組工法の二刀流で
グループでのシェアを上げる
ということが狙いの1つです。
次に、積水ハウス。M&Aではありませんが、
SI 事業という地域ビルダーとの
連携を積極的に進めています。
土屋ホームなど、地域の有力な
住宅会社10社と提携しており、
積水ハウスの高い技術を提供しています。
提携している住宅会社にとっての
SI事業のメリットは何かというと、
1つが大手ハウスメーカーの安心感です。
地元でトップシェアを誇るビルダーでも、
商談を経て契約に
至らないケースがもちろんあります。
そして、その顧客の一部は
大手ハウスメーカーに流れています。
理由は様々ですが、大手だからこその
安心感というのもその1つです。
今後数十年に亘って住むかもしれない住まいを、
末長くアフターフォローしてもらいたいと
考える顧客には、やはり財務資本が頑強な
大手が選択肢に挙がりやすいです。
顧客本人の意向だけでなく、
親からのそのような一声で
大手に流れるケースもあります。
最後に大和ハウス工業。
昨年末に話題を呼んだのが、
住宅会社ではありませんが、
電気設備工事会社の住友電設のM&Aです。
これからのAI時代に欠かせない
データセンター事業をより強化する狙いがあります。
■米国住宅業界への攻勢続く
M&Aは国内だけでなく、海外でも本格化しています。
大手ハウスメーカーの中でも大和ハウス工業や積水ハウス、
住友林業がその筆頭で、複数の国に進出していますが、
この3社が最も注力している国がアメリカです。
人口3億人超を有する世界最大規模の住宅市場で、
積水ハウスと住友林業については、
アメリカ国内での年間販売戸数が
既に1万戸を超えています。
近年の動向ということでは、積水ハウスは、
2024年にMDC社を子会社化したことが話題となりました。
当時の買収額は日本円にして約7,000 億円超。
2025年9月にはMDC社を統括会社として、
「セキスイハウスU.S.」に商号を変更しています。
2025年1年間のアメリカ国内における
引渡戸数は11,712戸でした。
住友林業は、2025年12月期のアメリカ国内の
販売戸数が10,262戸でした。
今年2月には、アメリカの住宅会社
トライ・ポイント・ホームズ社(TPH 社)の
100%子会社化を発表しました。
TPH社は、住林グループが
これまで手掛けてこなかったカリフォルニア州を
中心とした西部から、中部、東部まで
全米13州で事業を手掛ける有力会社で、
2024年12 月期の実績で販売戸数6,460 戸。
住友林業は今後もアメリカでの存在感を高め、
2030年度のアメリカ国内での
販売戸数2万戸を目指すとのことです。
アメリカの住宅市場は金利の高止まりなどもあって
不透明感があるものの、各社とも海外事業を
成長のドライバーの1つに位置付けています。
アメリカにおける戸建販売ランキングに、
日本の住宅会社の現地子会社が上位に入るなど、
事業規模は着実に拡大してきています。
(情報提供:住宅産業研究)