住宅ストック価値の最大化へ
前回は、
3月27日に閣議決定された
「住生活基本計画」で
示されている3つの視点と
2050年の住生活の姿を
見据えた11の目標のうち、
「住まうヒト」の視点で
掲げられた4つの目標に
ついて紹介しました。
今回は残りの2つの視点である
「住まうモノ」の視点及び
「住まいを支えるプレイヤー」の
視点に関連する7つの目標を
詳しく見ていきます。
■「住まうモノ」の視点
「住まうモノ」の視点では、
これまで官民投資により
蓄積されてきた
インフラ・居住環境を備えた
住宅・住宅地が、市場を通じて
最大限に活用される
持続可能な社会を目指して、
【目標5】~【目標9】を
掲げています。
ストック価値の最大化によって
これらを達成するため、
市場機能の進化を
推進していくとしています。
【目標5】では、
2050年の住生活の姿として、
住宅ストックが耐震性、
バリアフリー、ZEH、
レジリエンス性能などを確保し
誰もが安心・安全・健康に
暮らせる住まいが
提供されることを
目指しています。
今後10年で取り組む施策の
方向性としては、耐震性や
省エネ性能などの
住宅ストックの性能向上や、
将来世代に継承する
住宅ストックの供給・流通の
推進などが示されています。
【目標6】は、
所有者自らが住宅の
維持管理・点検などを
適切に行い、
その価値が評価され
次の所有者に引き継がれる
循環システムの構築を
掲げています。
売却などを見据えた
所有者による適切な
維持管理のほか、
リフォームなどによる性能向上と
その価値が評価される
仕組みの普及とともに、
安心して既存住宅が
取引きされる
市場環境の整備を行っていく
ということです。
【目標7】は、
住宅の所有者が事業者や
行政などの支援を受けながら、
住宅の維持管理や
売却・除却を含む
住まいの終活を行うことで、
空き家などが発生しにくい
環境を形成することとなどを
掲げています。
具体的に取り組むべき施策としては、
空き家予備軍などの所有者や
法定相続人による自発的な
空き家の発生予防、売却・除却が
行われるための機運醸成や
環境の整備が示されています。
【目標8】では、
地方部の人口減少を踏まえ、
持続可能な住宅地の形成や
多様なライフスタイルと
地域コミュニティを支える
住環境の充実を掲げています。
子育て支援施設や
コワーキングスペースなどの
生活拠点機能の整備を通じた
活力ある住宅団地の形成のほか、
高齢化などが進む住宅団地における
持続可能な管理運営の仕組みの
構築に向けた検討などを
推進していくということです。
【目標9】では、
住宅の耐震性の向上、
密集市街地の改善、
住宅市街地の浸水対策を
はじめとする各種災害対策や
防災機能・レジリエンス機能の
強化などを掲げています。
また、災害発生後においては、
迅速に被災者の住まいが
確保されるとともに、
早期に生活再建が
進むことを目指しています。
さらに、被災者のニーズに応じた
自力再建のための金融上の支援や、
地方公共団体による
自立再建の相談対応、
災害公営住宅の整備に向けた
財政上・技術上の支援にも
取り組んでいくということです。
■「住まいを支えるプレイヤー」の視点
住まいを支えるプレイヤーの視点では、
国や地方公共団体、
住宅・住生活関連事業、
NPOや地域団体などのほか、
住生活を営む居住者自身も含めた
あらゆる関係者で相互に連携し、
住宅市場を維持し続ける
社会であるために、
【目標10】及び
【目標11】を掲げています。
【目標10】では、
住まいの安定供給の確保、
所有者の支援体制の充実、
DX推進などによる住生活産業の
発展を目指すとしています。
具体的な施策としては、
住宅建設技能者の社員大工化の
促進や育成環境の構築、
女性技能者などの担い手の
裾野の拡大及び
それを支える工務店の
マネジメント強化などが
示されています。
また、ライフサイクルカーボンの
削減などのGX推進、
DX化による生産性の向上なども
取り組むべき施策としています。
【目標11】は、
国による市場の
環境整備・誘導・補完の継続、
地方の分野横断的な
住宅行政の実現を掲げています。
国は、2050 年に目指す
住生活の姿の実現に向けて、
DX を推進しつつ、
市場の環境整備などを行うほか、
地方公共団体が、国や
住宅・住生活関連事業者などと
分野横断的に住宅行政を
推進することとしています。
今回の「住生活基本計画」では、
住宅ストックの利活用についての
項目が注目されています。
住宅関連事業者には、
住宅ストックの価値を最大限活用し、
「人生100年時代」の
住生活を支える基盤を
構築していく姿勢が
求められています。
(情報提供:住宅産業研究)