新築戸建はさらなる断熱性能向上進む
イラン情勢が不安定になったことで、
日本の建設産業にもその影響が
出てくるのは間違いありません。
既に影響が表面化しているのは、
住宅に使用される断熱材です。
今、話題になっている原油は、
ポリスチレンフォームや
ウレタンといった断熱材に
使用される材料の原料でもあります。
そして、そのような断熱材を製造しているメーカー、
例えばカネカでは3月19日に
押出法ポリスチレンフォーム
(商品名「カネライトフォーム」)
の価格改定を発表しました。
ポリスチレンフォームは戸建住宅の、
特に基礎の立ち上がりや底盤などに
施工される断熱材として有名で、
多くの住宅会社が使用しています。
この数年で住宅の断熱性能は徐々に向上し、
それとともに住宅の価格も上昇してきました。
住宅には不可欠な断熱材ですが、
イラン情勢の動向次第で
さらなるコストアップもあるかもしれません。
■断熱等級「6」が市場の標準となるか
断熱性能はこの数年、
住宅業界の中でホットなワードでした。
2025年4月より次世代省エネ基準が
新築住宅を建てる上での最低基準となったり、
断熱性能にこだわる会社から
断熱等級7の住宅商品が出たり、
住宅会社同士の競争とも言える現象が起きていました。
そして、2025年に子育てグリーン住宅支援事業の
「GX志向型住宅」が始まったことも、
断熱性能・省エネ性能のアップに拍車をかけました。
この支援事業は、今年の
「みらいエコ住宅2026事業」でも継続されます。
住宅会社の直近動向ということでは、
例えば一条工務店では、
今年1月から「HUGme」などの
枠組壁工法の商品において
断熱等級「6」を標準化しました。
「i-smart」などではオプションで
断熱等級7にも対応しています。
このほかアイ工務店では、
UA値0.28まで断熱性能を高めています。
同社は2023年から北海道に進出していますが、
UA値0.28は、北海道を含め地域区分が「1」の
エリアでも断熱等級6を獲得できる性能値です。
今や断熱性能はエンドユーザー目線でも
会社選びの重要な指標の一つとなっています。
そして、業界を代表する会社は
先述のように断熱性能を上げてきています。
住宅業界を生き残っていくためには、
この性能への取り組みは欠かせないものとなりました。
■新築だけじゃない、ストックの断熱改修も重要
断熱性能の向上が必要なのは新築だけでなく、
既存住宅にも言えることです。
国交省の発表によると、
全国の既存住宅約5,000万戸のうち、
現在の新築住宅の最低基準である
断熱等級「4」以上の住宅は11%しかありません。
残りの89%、おおよそ9割の住宅は
断熱性能が乏しいということが現実です。
さらに断熱材が入っていない、
いわゆる「無断熱」の住宅を含む等級「1」は、
全体の30%を占めます。
断熱性能が低い住宅は、健康リスクも大きいです。
命を守るという観点においても、
既存住宅の断熱性能向上は重要な取り組みです。
ここに注力している会社の一つが、宮城県の北洲です。
同社のストック循環事業部では、
性能向上を絡めたリノベーションを
武器に事業展開しています。
同社がリノベーションを通して目指す断熱性能は
「5」、もしくは「6」です。
気密性能についてもグラスウールと
気密シートを組み合わせて施工することで、
C値1.0以下まで高めているとのことです。
同時に、耐震性能にも配慮しており、
新耐震基準の建物であれば
最高の「3」も可能としています。
北洲では断熱性能に係る
リフォーム商品を2つ用意しています。
まず「BASE18」。
WHOが健康的な住環境の目安として
提唱する室温18℃以上に保つことを
コンセプトにした商品です。
これまでの事例では断熱性能の向上により、
光熱費が半減したというケースもあり、
リフォーム後の顧客満足度も高水準です。
2つ目が「ラク暖」で、非破壊型の断熱改修商品です。
施工方法が内張りと外張りの2タイプあり、
木質系住宅の場合は両タイプ、
鉄骨系住宅の場合は内張りでの施工というように
構造に応じて使い分けています。
構造体に手を加えず、解体も最小限に抑えられるため、
産業廃棄物が少なく、工期短縮や<解体費削減に
つながるといったメリットがあります。
住みながらの改修や、間取り変更を伴わない
リノベーションの際に選ばれやすい商品となっています。
(情報提供:住宅産業研究)