新卒確保のために住宅会社はなにをすべきか
今時の若者が会社に求めるものとは?
住宅業界に限らず、企業は持続可能な成長を果たすため、
新卒や若い人材を確保し、新陳代謝を進めていく必要があります。
一方で、少子化が進み、若者の母数自体が減っていること、
情報化が進み、選べる会社が増えている/会社選びの基準が多様化していることなどを背景に、
会社にとって、若者を採用することは難しくなってきています。
中でも住宅会社は営業職はノルマがきつそう、設計職は残業が多そうといったイメージが強く、
若者を確保するハードルはより高いと言えるでしょう。
今回は、今時の若者を採用するために、住宅会社はどんなことができるのか、
どんなことをすべきなのかを考えていきます。
まず、若者が会社に求めるものとは何なのかを考えていきます。
昨今の新卒・若手が会社選びで重視しているのは大きく、
「人(職場の雰囲気)」、「自分らしく働けること」、「仕事内容のやりがい」3つの軸です。
リクルートの「新入社員意識調査2024」では、就職先を選ぶ際に
「働いている人が魅力的・職場の人間関係がよい」、
「自分らしく働ける」、「仕事内容が魅力的」が上位を占めています。
同時にワークライフバランスや柔軟な働き方への期待も高まっています。
長時間労働や出社至上の働き方に魅力を感じない人が増え、リモートワークやフレックスタイム、
休日の確保などが選択基準に入るケースが多いことが複数の調査で示されています。
若手は単に給与や仕事内容の充実だけでなく、生活との両立や心身の余裕を重要視しています。
さらに特徴的なのが二極化です。挑戦志向で成長機会を重視する若者と、
安定や確実性を重視する若者が並存しています。
企業はこの二者を同時に満たすことは難しいため、採用の段階でどのタイプを主に採るのか、
あるいは両者をどう分けて育成するかという方針を明確にする必要があります。
住宅会社が新卒確保のためにすべき取り組みとは
以上のような若者の特徴を踏まえ、住宅会社が新卒を確保するには、何を行うべきでしょうか?
まず、柔軟な働き方と福利厚生が整備されていることをしっかりと伝え、
会社選びの選択肢に入らなければいけません。
現場仕事でも勤務時間が融通できること、週休が確保できること、
育児・介護休業制度が整備されていること、リモートワークが可能なことなど、
ワークライフバランスを支える施策を見せると、若手の安心感は高まります。
選択肢の1つに入った後は、やりがいや人間関係が重視されている点を踏まえ、
「会社のビジョンはどうか」、「家を建てることで誰の生活がどう変わるか」、
「現場でどんな技術が学べるか」等、若者が期待するものを具体的に示すと良いでしょう。
インターンを強化する等、入社前に会社理解を深める工夫はそのための手法の1つでしょう。
インターンの際に職場の人や仕事の中身、
身につけられるスキルを体感してもらうことでミスマッチが減り、入社後定着率も上がります。
配属後のギャップ離職の原因になることも多いため、事前体験は効果的と言えます。
また、キャリアパスや育成プログラムを見える化しておくことも大切です。
職人としてのスキル、施工管理、設計、営業といった複数の成長ルートを提示し、
「入社後、何年で何ができるようになるか」を示してあげると、
挑戦型と安定型、双方のニーズに応えられるかもしれません。
どのような会社で、何をしているかも若者にとっては大切な要素です。
そこを魅力的に見せるためのブランディング、SNSにおける発信はより重要になってきています。
住宅業界はブラックな印象が強いと前述しましたが、
AIの発達・DXの推進などにより、追い風が吹いている部分もあります。
最近では、ブルーカラーとホワイトカラーの
賃金逆転現象が起きつつあるということが話題になりましたし、
海外の動向も含め、技能・現場での仕事(建築・職人・施工など)を
ポジティブに受け止める若者も増えているようです。
SNSで「手に職をつける魅力」を発信する若者などが注目され、
住宅・施工分野にも採用の追い風になり得ます。
この流れを受け、技術と誇りを前面に打ち出すことが住宅会社にとっては有効かもしれません。
具体的には、施工の過程や職人の技、若手の成長エピソードを動画や写真で発信すると、
技能職への関心が高い層に響くと考えられます。
いずれにせよ、鍵となるのは情報発信力と、その信用力・説得力にあると言えます。
会社によっては、大志を抱いて事業を行っていたり、職場環境が充実していたりするにも関わらず、
そのことをうまくアピールできていないこともあります。
こういったことをホームページ等に分かりやすく打ち出すだけで
若者の興味を惹くことができるかもしれません。
また、国や認定機関に表彰されたことがあるのであれば、それをアピールすることも大切です。
情報を多角的に選ぶ傾向のある現代の若者にとって、
第三者による評価は信用度を増すことが期待できます。
会社の良い取り組みは、積極的に発信していきましょう。
(情報提供:住宅産業研究)