住宅メーカーの富裕層攻略商品・トレンド,ハウスメーカー
国土交通省が発表した2015年度の新設住宅着工戸数によると、持家着工戸数は約28万戸となっており、好調が続く賃貸住宅市場と比べると、戸建住宅市場は厳しい状況に置かれています。市場全体が落ち込む中、住宅メーカー各社が注力しているのが、富裕層からの受注の獲得です。
今回は、厳しい市場においても比較的安定的に受注を獲得することができる富裕層向けの商品について、住宅メーカー各社の取り組みをご紹介します。
木造住宅で富裕層の取り込みへ
鉄骨の住宅は、木造に比べて設計自由度が低いと言われています。時間やお金にゆとりがあり、住まいに対するこだわりが強い富裕層のユーザーにとっては、こだわりや嗜好を住まいに充分に取り入れることができないといったケースも少なくありません。
そこで、主に鉄骨の住宅を扱う住宅メーカーが木造の住宅商品を開発し、富裕層のニーズを満足させようという動きが出てきています。
パナホームは、富裕層向けの木造戸建て注文住宅商品である「アーティム」の販売を8月22日から開始しました。
パナホームでは、木造の注文住宅を手掛けるのは、「アーティム」が初めてとなります。都内在住の50~60代の富裕層をターゲットにし、設計自由度の高い木造軸組構法で展開しています。
創業以来50年以上に渡り、鉄骨住宅を手掛けている同社は、鉄骨住宅で培ったノウハウや技術力を生かし、質の高い住宅デザインや明るく伸びやかな大空間等を提案するということです。
また、一邸毎に営業・設計・施工の専属チームを編成し、ユーザーの要望を聞きながら一から住まいを作り上げるフルオーダーメイド方式を採用しています。
参考プランは、2階建の延床面積166平米(50坪)で本体価格が約6,500万円となっています。
パナホームでは、8月に駒沢公園ハウジングギャラリーにモデルハウスをオープンし、10月には、暮らしを楽しむ新しいライフスタイルの提案を行う「サロン青山」を情報発信の場としてオープン予定です。販売目標は2020年度までに100棟ということです。
上質さと最新設備を両立した住宅商品
セキスイハイムでは、同社の45周年を記念し、ロングセラー商品である「パルフェ」、「ドマーニ」、「デシオ」の3商品に、新たに開発した高耐久磁器タイル外壁「レジデンスタイル―G」を採用した「Gシリーズ」を4月23日に発売しました。
都市部を中心に相続税制改正に伴う資産活用ニーズが高まり、賃貸住宅や2世帯住宅などの戸建住宅の建替え需要が根強いことに着目し、富裕層の市場をメインターゲットに設定し、開発した新商品となります。
「Gシリーズ」で標準採用されている、新開発のオリジナル磁器タイル外壁「レジデンスタイル―G」は、天然石のような素材感と深い陰影があり、重厚感のある外観を表現することができます。磁器タイル外壁は親水性が高く、汚れにくいため、メンテナンス費用を抑えることができるということです。
また、内装の質へのこだわりとしては、アッシュ、チェリー、ウォールナット、メイプルといった天然銘木の美しさと耐久性を活かした「銘木プレミアムフローリング」を追加しています。
さらに、「Gシリーズ」では、住宅業界では初めてとなるHEMSにオリジナル空調システムと蓄電池を制御する機能を追加しました。翌日の外気温予報などを基に、空調システムをコントロールすることで、快適性を保ちつつ、省エネ性を向上させたということです。
蓄電池においては、蓄積されたHEMSのデータから翌日の総消費電量や太陽光の発電量を予測することで、最適な充放電時間を、ユーザー毎に制御することができます。
また、住宅業界で初めて、定置型蓄電池と電気自動車の併設を可能にし、蓄電容量を最大で35kWhとしました。これにより、最大で年間200日以上電力を買わずに暮らすことも可能としたということです。
同社では、販売価格を坪80万円台からとしており、2016年度に2,000棟の販売を目標としています。
(情報提供:住宅産業研究所)