国交省調査から見えてくる、いまドキの住宅会社選び
国土交通省では毎年、「住宅市場動向調査」を実施しています。
これは住み替えやリフォームなどを行った世帯を対象とした調査で、
最新版の調査結果は2025年7月に発表されました。
調査項目の1つとして、会社選び・物件選びの過程における情報収集の方法というものがあります。
住宅購入やリフォームを検討している人々がどのように会社を選んでいるかについては、
販促などの施策構築に重要な情報です。
以下、詳細を見てみましょう。
新築住宅編:注文住宅は「展示場」、分譲戸建は「インターネット」が中心
まず、新築住宅を購入するに当たって住宅会社や物件を探した方法を、
「注文住宅」と「分譲戸建」について見ていきます。
注文住宅の場合、回答率が最も高かったは「住宅展示場」で、50.8%でした。
注文住宅という性質上、百聞は一見にしかずで、この項目が最多であることは当然とも言えます。
この数年は回答率50%内外で推移しています。
そして、2番目が「インターネット」です。
回答率は前年から4.6ポイントアップの46.6%でした。
この項目の回答率は上昇傾向で、4年前と比較すると約2倍に上ります。
コロナ禍を経てインターネットの活用が世代を問わず定着したことに加え、
デジタルネイティブ世代と言われる若年層が
住宅取得適齢期に差し掛かってきた点も大きな要因と推測されます。
「WEBで情報を吟味してからモデルハウスへ」というお客様が、
今後マジョリティとなっていく可能性が高いと言えます。
次に、「分譲戸建」について。建築会社や物件を探した方法で、
回答率が最も高かったのは「インターネット」で、61.8%でした。
以前からこの回答率は高かったものの、コロナ禍を経てさらに上昇しています。
4年前と比較すると20ポイント高くなっています。
この背景にはポータルサイトなどの発展もあります。
今や検討エリアの選定や、こだわり項目による物件の絞り込みなどが可能で、
比較検討が容易になっています。
物件自体に魅力があるかどうかが重要で、
会社のネームバリューのみでは選ばないことに留意しておきたいところです。
リフォーム編:「信頼できる会社」が有力候補
エンドユーザーがリフォームを検討する際、どこに頼むべきか、
そもそもどこに相談すればいいのか分からないという方が多いのが実情です。
実際、「住宅市場動向調査」において、リフォームの「施工会社を探した方法」の最多は
「以前からつきあいのあった業者」で、回答率は25.3%でした。
大手ハウスメーカーや地域密着型の住宅会社・リフォーム会社は、
自社のOB客に対して、このリレーション構築の取り組みを強みとしてきました。
中大規模の住宅ビルダーでも近年、この取り組みを強化したいというところが増えています。
しかし新築部門に人材の比重が置かれがちで、
アフターやリフォーム部門の人手が足りていないという事例が散見されます。
新築住宅の需要が低迷している今、
オーナー訪問は「年に1回以上」というようにルールを設けて、
全社員で取り組むという体制の構築が求められます。
施工者を探した方法として回答率が高かったのは、「紹介」です。
「知人からの紹介」の回答率は24.4%。
リフォームは数万円の工事から1,000万円を超えるものまで様々ですが、
信頼できる業者に頼みたいのは多くのユーザーが考えることです。
どこに依頼するかを決める上で、「信頼できる第三者の声」は今後も重視されるはずです。
2024年度調査より「施工者を探した方法」の選択肢に加わった「店舗」の回答率は20.0%。
リフォーム会社が構えているショールームだけでなく、
リフォーム事業を強化している家電量販店やホームセンターといった店舗も含まれます。
実際に、店舗で情報収集を行うユーザーも多いです。
「折り込み広告」は年々減少して、2024年度の回答率は6.4%。
「業者の直接セールス」の回答率も4.1%と1桁台です。
紙媒体や飛び込み営業といった従来型の販促は顧客の選択肢から外れつつあります。
「住宅情報誌」や「ダイレクトメール」の比率も低水準にとどまっています。
一方で、回答率が着実に伸びているのは「インターネット」。
直近の回答率は17.0%で、新築住宅に比べるとまだまだ伸びしろがありそうです。
そして、インターネットと言えば、
利用度が高いのがホームプロやリショップナビなどのポータルサイト。
今や婚活やショッピングなど日常のあらゆるシーンで
マッチングサイトやポータルサイトが利用されていますが、
リフォームでも同様の傾向があります。
(情報提供:住宅産業研究)