住宅会社はどう対応すべき?“〇○パフォーマンス”の最新動向
コスパに加え、タイパもすっかり重要ポイントに?
買い物をする際、大切にされるのがコストパフォーマンスです。
価格に対して良いものが欲しいというのは人間の当然の心理でしょう。
物価上昇の激しい昨今、コスパの大切さはより増してきているとも考えられます。
そしてコスパに加え、消費行動の際に重要視されるようになっているのが
タイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」です。
念のためおさらいをしておくと、タイパというのは、費やした時間と、
それによって得られた効果や満足度の対比、すなわち時間対効果を指します。
これからの住宅一次取得者層のメインとなるZ世代は、
特にこのタイパを重視する傾向にあると言われています。
デジタルネイティブであるZ世代にとっては、PCやスマホで検索すれば、
疑問に対する答えを簡単に得られるということが当然であり、
インターネット上に溢れかえる情報の中から、自分に最適なものを取捨選択する必要も高いため、
タイパを大切にしていると言われています。
それでは住宅会社はどのようにタイパを良くすることができるのでしょうか?
その対応として、フルオーダーではなく、
セミオーダー商品、規格型商品、建売住宅を活用することが挙げられます。
決めなければいけないことが多いフルオーダーの注文住宅に対し、
これらの選択肢は家の型などが決まっており、家づくりの手間を簡略化することができます。
また、これらの選択肢は価格抑制にも繋がり、コスパを上げることにもつながります。
もちろん、フルオーダーの注文住宅を希望する方もまだ多くいらっしゃいますが、
お客様の属性に合わせ、フルオーダー以外の選択肢も提案できるようにしておくことが大切でしょう。
そのほか、展示場に来なくても家づくりを進められるオンライン接客や、
タブレットの貸し出し等を行い、自宅で家づくりを進められるようにすることも、
家づくりにおけるタイパ向上に繋がると言えます。
家づくりに関することだけでなく、設計や暮らし方についてもタイパを意識しておくと良いでしょう。
例えば、洗濯機のそばにランドリースペースを設け、洗濯物を持って移動する手間を省く、
キッチンの近くにパントリーを設置し、料理などの作業をスムーズに行えるようにする等が、
タイパ向上のための工夫として挙げられます。
こういったタイパ向上につながる提案というのは、
子育て世帯のほかに、共働き世帯にも有効だと考えられます。
スぺパを筆頭とした新たな「〇〇パフォーマンス」
ここまで、既に世に浸透していると言えるコスパ、
タイパについて触れてきましたが、新たに注目を集めているのが、
限られた空間をいかに効率的に活用できるかという考え方のスペースパフォーマンス、
いわゆる「スぺパ」です。
スぺパが注目されている背景としては、世帯人員の減少、
そして都市部をはじめとした地価上昇や建築資材高騰の影響で、
住宅面積の縮小が進んでいることがあります。
住宅着工統計を見ると、持家の床面積は10年間で10平米以上、
20年間で20平米以上小さくなっていることが分かります。
住宅会社のスぺパ向上のための取り組みとしては、
段差部分や階段の下などのデッドスペースを活用して収納を設けるといった設計上の工夫や、
収納効率に優れた設備、1台で複数の機能を備えた機器を
採用するなどの設備機器における工夫が主に挙げられます。
そのほか、視線が抜ける家具の配置や、鏡などを上手く配置して空間を広く見せること等も、
暮らし方やインテリアの工夫として挙げられるでしょう。
スぺパのほかにも、新たな「〇〇パフォーマンス」という考え方は次々と生まれてきています。
SNSアカウントでの投稿における効果、満足度を指す、アカウントパフォーマンス=「アカパ」。
個人で行う活動の効率や効果を指す、ソロパフォーマンス=「ソロパ」。
さらには、愛情と効果を天秤にかける考え方、
ラブパフォーマンス=「ラブパ」なんて考え方も生まれてきているようです。
新たな「〇〇パフォーマンス」の中でも、
住宅と関わってくる可能性が高いのがウェルビーイングパフォーマンス=「ウェルパ」です。
ウェルパは、自分の行動や購入する商品・サービスが、自分自身や社会のためになっているか、
それによってウェルビーイングな状態になれるかどうかという考え方です。
住宅会社であれば、住まいの睡眠環境や浴室空間を充実させ、
居住者の心身の健康を保つという提案などが行えるでしょう。
情報が溢れ、他者との比較もしやすく、疲弊しやすい現代において、
ウェルパという考え方はどんどん大切になっていくかもしれません。
以上で紹介してきたように、新たな考え方が次々と生まれてきている現代。
世の中の動向に常にアンテナを張り、新しい価値観に置いて行かれないように注意しましょう。
(情報提供:住宅産業研究)