住まいは“どこから”“誰から”買うかが重要に

昨今の新築住宅市場では、断熱性能や耐震性能の底上げが進み、
どの会社のどの商品を買っても、特別大きな差を感じにくくなってきていると言えます。
そんな中で重要度を増してきているのが「どんな会社から」、「どんな人から」買うかという基準です。
この価値観は例えば、アパレル業界では少し前から浸透しているように思えます。
ECの発展によりわざわざ店舗にいって接客を受けなくとも、
衣服が買えるようになってきている中だからこそ、
ショップスタッフの接客や知識に価値を感じる人が増え、
それらを軸に購入品を決めるといったようなことです。
多くの場合、一生に一度の買い物となる住宅において、
そういった部分が重視されるのは当然のことと言えるかもしれません。

会社としてホスピタリティを徹底せよ

まず「どんな会社から買うか」について。
極端な例ですが、環境のことを全く考えていない会社から買うか、
環境に配慮した家づくりを行っている会社から買うかと言われれば、
後者を選ぶ人がほとんどでしょう。
環境以外の指標としては、社員にとって働きやすい（≒ホワイトな）会社であるか、
地域貢献に積極的であるかなどが考えられます。
このご時世において、自社を「良い会社」とすることの大切さは増してきており、
その取り組みを積極的に社外にアピールしていく必要も出てきています。

来場したお客様をいかにもてなすか、
つまり会社のホスピタリティも会社選びにおける大切な部分となってきています。
三重県のハウスクラフトはホスピタリティを徹底している会社の一つです。
来場予約があった際には、必ず来場前にお礼や担当スタッフの紹介を行う動画を送付し、
初回来場前の心理的ハードルを下げておきます。
また、来場の度にお礼のハガキを渡し、感謝を伝えます。
さらに託児専門のスタッフも勤務しており、
預かり中の子どものアルバムを作成すること等も行っています。
こういった取り組みがお客様の感動体験に繋がっているようで、
契約や売上の伸長に結び付いています。

昨今は、会社にカフェを併設することでホスピタリティ向上に繋げている会社も見られます。
例えば滋賀県のライアートは、ショールーム併設のカフェを
「アイスブレイクの場」以上のものとして活用しています。
提供するドリンクは全て自社オリジナルメニューとしているほか、
子ども連れのお客様に対しては、子どもの顔をラテアートで書くこと等も行っています。
「ここまでやってくれるんだ」という感動が、業績伸長の一因となっているようです。

担当スタッフの人となりをいかに伝えるか

昔から、「営業スタッフの人となりが、その住宅会社に決定した最大の要因となった」
という話もよく聞かれるように、「どんな会社から買うか」に加え、
「どんな人から買うか」というのも大切な部分です。
自分の要望をよく汲んでくれる人というのは当然として、家づくりに関する知識が豊富な人、
趣味嗜好が自分と合ってセンスが良いと思える人、
ワクワクするような提案をしてくれる人から住宅を購入したいというのは当然の心理でしょう。

担当スタッフの人となりをどう伝えるかというのは、
スタッフ自身のスキルに依るところもありますが、
会社の工夫でより伝えやすくすることもできます。
例えば昨今多いのが、
名刺にInstagramの個人アカウントのQRコードを記載しておくというもの。
効果的に担当スタッフの趣味嗜好を伝えることができ、
特にデザイン性やライフスタイル提案に強みを持つ会社では
その効果を発揮しやすいと言えるでしょう。

山形県のウンノハウスでは「担当者マッチングサービス」という取り組みを実施しています。
「女性スタッフが良い」、「二世帯住宅を検討しているので、その経験値が高いスタッフが良い」、
「車が好きだから車が好きなスタッフに担当してもらえると嬉しい」などの
様々な希望を来場前にお客様から伺うことで、
よりその人に合った接客がしやすくなります。

ほかにも、地元ラジオに出演することで、スタッフのことを知ってもらうという例もあります。
秋田県の秋田林業ホームは、FMラジオの５分間番組に出稿中。
この番組には社員が月替わりで出演しているとのことで、
家づくりや土地探しのポイントを紹介するほか、
出演者の人となり紹介にも繋がっているようです。
実際、来場者の中には「ラジオを聞きました」と言ってくれる人もいると言います。

家づくりは、「人と人との出会い」という部分も大きいと言えます。
今回紹介した例のように、スタッフの趣味嗜好、
人となりを潜在客に伝える方法は様々あります。
自社に適した方法を模索し、会社として自社のスタッフと
お客様を繋ぐ橋渡しができるような取り組みができると良いでしょう。