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レジリエンス最新動向

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2025.10.21

定着しつつある「レジリエンス提案」


昨今、住宅業界で「レジリエンス」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
地震や台風などの災害が頻発する中で、
もしものときに家族を守れる家を求めるお客様が増えており、
工務店にとっても重要な提案テーマになりつつあります。
以前は、耐震等級や制震ダンパーといった建物自体の強さを訴えるのが中心でしたが、
今では停電・断水への備え、在宅避難を可能にする仕組みなど、
暮らしを維持するための提案へと広がっています。


災害対応への意識が高まっている背景の1つとして、
各地での自然災害の経験が積み重なっていることがあります。
特に2024年の能登半島地震や、大規模な停電を経験した地域では、
「自宅で生活を続けられるか」という現実的な課題に直面しました。
その結果、住宅選びにおいても「災害への備え」が関心事として
上位に位置づけられるようになっています。
こうした変化は、厚生労働省が打ち出すBCP(事業継続計画)とも連動しており、
レジリエンス提案は一過性のものではなく、
持続的な提案テーマとして定着しつつあります。


具体的な企業の取り組みを見ると、
積水ハウスは防災住宅「グリーンファースト ゼロ(ZEH)」シリーズを全国で展開。
太陽光発電や蓄電池、さらに自立型給水設備を組み合わせた仕組みを提供しています。
ほかにも、ミサワホームは「蔵のある家」の構造を活かし、
災害時の物資備蓄スペースを兼ねた設計を推進しています。
こうした取り組みが広がることで、レジリエンス提案は一部の先進企業だけのものではなく、
一般的な住宅提案の一要素として浸透しつつあります。


工務店にとって重要なのは、レジリエンスを「高額なオプション」ではなく、
「長期的な資産価値を支える投資」として位置づけることです。
そのためには、お客様の生活イメージに寄り添い、
災害時だけでなく日常の快適さも高める提案にすることがカギになります。
例えば、蓄電池を「停電時だけでなく電気代を抑える仕組み」として説明したり、
雨水利用設備を「庭の散水や洗車にも使える便利な装備」として
提案したりすることが考えられます。
レジリエンス提案は、単に防災・備災のためのものではなく、
平時の暮らしにも役立つ“生活提案”として定着させるべきものになっています。


ジャパン・レジリエンス・アワード2025に見る最新動向


2025年4月に発表された「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)2025」の
結果からは、レジリエンスの概念が進化していることが見えてきます。
これまでのように防災機能だけを競うのではなく、
日常生活の利便性や省エネ、環境配慮といった要素を
同時に満たす取り組みが高く評価されるようになりました。
つまり、レジリエンスは「非常時の対策」から
「日常と一体化した暮らしの仕組み」へと進化しているのです。


今年の最優秀賞を受賞したのは、
WOTA株式会社が開発した小規模分散型水循環システムでした。
WOTAは家庭や避難所での断水時に、排水を再利用して水を循環させる技術を持ち、
普段の生活でも節水効果を発揮することから高く評価されました。
工務店としても、こうした設備を住宅設備提案の一部として組み込むことで、
「災害に強く、環境にもやさしい家」という新しい価値を提示することが可能になります。


住宅業界では、クレバリーホームが「ライフライン維持パッケージ」で
優秀賞を受賞しました。
太陽光発電・蓄電・給水・給湯システムを一体的に提案するこのパッケージは、
施工のしやすさと費用の明確さで評価され、工務店でも参考にできるモデルと言えます。
単に機器を並べるのではなく、
生活動線や停電時の行動を想定して設計された点が評価のポイントでした。


他にも、株式会社タナカの「家コネクト」が最優秀賞を受賞。
家コネクトはIoTセンサーを建物へ設置することにより、
地震発生時の建物の状態をリアルタイムで分析するというもの。
その情報を見える化し、
地震発生後に建物が安全かどうかを速やかに把握することを可能にします。
一般住宅の安全確認に使用するだけではなく、避難所等の公共施設へ設置することで、
迅速かつ効果的な避難指示や対応が可能となり、地域の安全確保にも貢献します。
また、建物の状態を継続的に監視することは適切な保守・点検にも繋がり、
建物の寿命を延ばすことにも貢献します。


このように、レジリエンスアワード2025の結果から見えるのは、
「レジリエンス=防災設備」ではなく、
「普段の快適さを支える仕組みの一部」としての提案が主流になっていることです。
工務店が提案する際も、地域のリスクや顧客層に合わせた現実的な構成にすることで、
より多くの共感を得られるでしょう。
今後は、自治体との協働や、再エネ・IoTといった新技術の取り入れ方も
問われていく時代に入っていくでしょう。



(情報提供:住宅産業研究)

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