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「地場工務店の生き残る道? ~パッシブ設計」業界ニュース

業界ニュース
2023.2.28

付加価値向上のため、パッシブ設計に力を入れる地場工務店が増加中?


資材価格の高騰によって現在、住宅業界は困難な状況にあります。
ウッドショックによる木材価格の上昇は一段落したものの、
基礎に用いるコンクリートや鉄筋の価格高騰は激しく、
設備の値上げも相次ぎ、建築費用は上昇の一途を辿っています。
それによってエンドユーザーは以前よりも
更に住宅を購入しづらくなってきています。

そのような中、
住宅業界ではエンドユーザーの手が届きやすいように
ローコスト商品を強化する会社と、
付加価値に優れた棟単価の高い商品を強化する会社
というような、二極化傾向も見られます。
そして、後者の戦略としてパッシブ設計を選ぶ会社も増えてきているようです。


今回はそのパッシブ設計をフィーチャーしていきます。
そもそも、パッシブ設計とはなんでしょう?
住まいの省エネルギー化を実現する方法として
「アクティブ手法」と「パッシブ手法」が挙げられます。


アクティブ手法は機械の力を積極的に使う手法です。
例としては、太陽光パネルで発電し、HEMSを設置し、
冷暖房などをコントロールすることなどが挙げられます。
それに対しパッシブ手法とは、
機械に頼らず太陽の光や熱、風など自然のエネルギーを活用する手法です。
そのパッシブ手法を取り入れた設計術がパッシブ設計です。


パッシブ設計のメリットの1つとして挙げられるのが、
自然エネルギーを利用するため、照明や冷暖房などの
ランニングコストを抑えることができる点です。
エネルギー価格の高騰も激しい今、
パッシブ設計はより求められているものだと言えるでしょう。


もう1つのメリットは、
太陽の光や風などの自然の力を利用しての生活となるため、心地が良いということです。
特にコロナ禍以降は在宅の時間が増え、自然との繋がりを感じることのできる
住宅のニーズは高まっています。
このように考えてみると、パッシブ設計はコロナ禍以降の世の中に
マッチした手法だと言えるのかもしれません。


前述の通り、パッシブ設計は自然の力を利用する設計術のため、
日射時間はどれくらいか、どの方角からの風が吹きやすいか等、
建設地の地域特性をよく理解し、
一邸一邸その特性に合った建物とすることが重要です。


手間暇はかかるかもしれませんが、
その地域のことをよく知っている地域密着型の工務店にとって、
付加価値向上のための戦略として適していると言えるでしょう。


パッシブ設計の5大要素


「パッシブ設計」と聞くと専門的で難しそうな印象を持つかもしれません。
しかしパッシブ設計はシンプルな5つの考え方に基づいています。


パッシブ設計の5大要素は、
1:高気密・高断熱、
2:日射熱利用暖房、
3:日射遮蔽、
4:自然風利用、
5:昼光利用となっています。


これらがどのようなものか理解していれば、
基礎的な手法は取り入れることができるでしょう。
また、設計やお客様とのトークの幅を
広げることにも繋がるかもしれません。
以下、それぞれの要素について簡単に解説していきます。


【1:高気密・高断熱】は、パッシブ設計の大前提です。
躯体の高性能がなければ、
後述する日射熱の利用や日射遮蔽も効果を発揮しません。
躯体の断熱性能を握る壁・屋根の断熱材やサッシには
特にグレードが高いものを用い、
最低でもZEH基準はクリアをしたいところです。


【2:日射熱利用暖房】は、いかに日射熱を室内に取り入れ、
暖房設備を利用せずに暖かく過ごすかという、
冬季におけるパッシブ設計の考え方です。


【3:日射遮蔽】は、いかに太陽光を遮り、
室内に熱を侵入させないかという、
夏季におけるパッシブ設計の考え方です。


ここまでの1~3がパッシブ設計の要であると言えます。
しかし、自然風利用、昼光利用も疎かにしてはいけない、
生活を心地よくするための大切な要素です。


【4:自然風利用】は、
いかに外を吹く風を捕まえて室内に取り入れるかという考え方です。
熱を持った空気を外部に排出する等、特に夏場においては大切な要素です。


【5:昼光利用】は通年の要素で、
陽の光を取り入れ居室の奥まで通し、生活空間を明るくしようという考え方です。
照明よりも陽の光が心地良いのは言うまでもないでしょう。


建築地の特性を加味し、
これら5つの要素をいかに取り入れ、快適に過ごすか、
というのがパッシブ設計の基本的な考え方です。


パッシブ設計の強みはなにより、「説得力」です。
お客様に
「このような考え方に基づいて、このような設計にしました」
と伝えることができれば、信頼の獲得に繋がるでしょう。

(情報提供:住宅産業研究所)

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