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実態調査から生まれる生活提案(前編)【2014年9月29日】

2014.9.29

○●○●○●○ 工務店MBA 最新業界ニュース ●○●○●○●



「実態調査から生まれる生活提案」(前編)



新しい商品を企画する際、初めに決めることは、
「誰に」売るべき商品を作るかということ。


そして次に考えることは、
そのターゲットがどんな暮らしをしていて、
その「暮らしの器」となる住宅に何を求めているのか…。


また、当人たちも気づかないような問題に着目することで、
「その手があったか」と思わせるようなしかけも、
差別化には必要になってきます。


そのためには、彼らの生活実態を知ることが不可欠です。


住宅会社はどんな研究・調査に基づき、
需要に即した商品を生み出しているのでしょうか。



■ 赤ちゃん医学と育児工学から生まれた家
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月9月、トヨタホームは育児用品の
トップメーカーであるアップリカとのコラボ商品
「Smilism(スマイリズム)」を発売しました。


2社のコラボに加え、同志社大学の
赤ちゃん学研究センター長を中心とした専門家も
監修に加わり、「赤ちゃん医学」と「育児工学」の
ノウハウが満載された商品となっています。


その根本となるのが、アップリカの製品づくりの
独自基準「笑顔の理由8・3・8」です。


その概要は以下のとおり。


【守ってあげたいからだの未熟性】…8項目

 〜頭が重く首はグラグラ、睡眠リズムができていない、
  免疫力が弱い など


【育んであげたい心の発達】…3項目

 〜スキンシップで育む信頼関係、五感への刺激で育む好奇心、
  みんなの笑顔で育むコミュニケーション力


【からだと心を守り育む医学構造】…8項目

 〜通気や温湿度環境を整える、
  衝撃や不快に感じる振動を軽減する など


これらの基準に基づき、布地を使った
「テキスタイルフロア」や「ヌノカベ」を採用。


「テキスタイルフロア」は、フローリングよりも
滑りにくく、転倒しても衝撃を和らげる効果があります。


また、残響音が少ない素材であるため、
不快な音も抑えられます。


このほか、概日リズム(体内時計)に合わせて開閉する
ブラインドシャッターや、調光機能付きの照明器具を
利用して睡眠リズムを整えることも提案。


トヨタホームが以前から推進している換気・空調システム
についても、赤ちゃんの体温調節機能や免疫力の
弱さを補う設備としてアピールしています。


心の発達を助けるしかけとしては、
親の視線から程よく隠れられる「秘密基地」や、
安全に過ごせる半戸外空間、安全に開閉できる建具などで、
赤ちゃんの好奇心を安全に育めるよう、配慮しています。


社会人になるまでを「子育て期」とすれば、
「赤ちゃん期」はほんの僅かです。


一生にそう何度もない「家づくり」の焦点を
赤ちゃん期に絞るのは大げさという考えもあるかもしれません。


しかしちょっとしたことで命に係わる大事故が起こりやすく、
最も配慮が必要な時期であるのも確かです。


また、赤ちゃんに配慮した仕様は、お年寄りが
安全・健康に暮らすためにも大いに役立つものがほとんどです。


加速する少子高齢社会においては、
「赤ちゃん基準で家を建てれば、家族みんなにやさしい家になる」
という考え方が必要になりそうです。



■ 子どもの行動特性を基に考える「お手伝い」しやすい住まい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ミサワホームは今年、【お手伝い】をテーマにした
「子どもの行動特性調査」で、第8回キッズデザイン賞を
受賞しました。


同調査では、お手伝いの内容を、「卵をわる」、
「お米をとぐ」、「包丁を使う」、「こぼしたものを拭く」、
「カーテンの開閉」、「ペットのえさやり」など、
45項目に細分化して実態を調査しました。


これらの項目について、1歳〜8歳までの年齢別に
実施率を出すとともに、手伝いをさせていない場合は
その理由についても明らかにしました。


包丁や火を使うお手伝いをさせない理由については、
当然ながら「危険だから」という理由がダントツです。


これに対し、お箸を並べる、タオルやハンカチをたたむ、
おもちゃを片付けるといったお手伝いもさせていない世帯では、
「自分でやったほうが早い」という理由が多くを占めています。


協調性やマナーを育む上で、お手伝いは非常に重要ですが、
親の手間や心配を増やす可能性のあることはさせない
という考え方もあるようです。


特に共働き世帯では、こうした「教育と効率」の
ジレンマを感じているものと予想されます。


そこでミサワホームが提案しているのが、
子どもの年齢別身体寸法と住宅設備機器等との
関係性を踏まえた「お手伝いしやすい住まいの工夫」です。


子どもが安全かつ上手にお手伝いできる環境を
つくるという発想に基づき、様々な間取り・動線や
家具・家電の配置を考察しています。


たとえば、食器やお箸などの収納棚を、ダイニングの
低い位置(カウンター下など)に設けるというもの。


これは、キッチンに入らなくても配膳の用意ができ、
小さな子どもが安全にお手伝いしやすい工夫です。


この調査の結果やそれに基づく間取り分析の概要は、
同社のWEBサイトで広く公開されています。




(情報提供:住宅産業研究所)

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