民泊新法施行、住宅会社も民泊業界参入か業界ニュース,市場動向,ハウスメーカー
今年6月15日、全国同時に適用される民泊新法が施行されました。これまでメディア等で取り上げられている民泊といえば、利用者の騒音などをきっかけとした近隣トラブルや衛生が保たれていないような民泊施設などネガティブな内容が多くありました。これは利用者側のマナーはもちろんですが、、、
民泊施設を提供しているオーナー側の管理不足も大きな原因です。
「ヤミ民泊」という言葉も生まれましたが、民泊新法では悪質な民泊業者や民泊施設の排除を目的としています。
民泊新法では宿泊日数年間180日が上限
この民泊新法における特徴的なルールは下記の3点。
1)年間営業日数は上限180日間まで
2)民泊物件に事業主(ホスト)が滞在しない場合、住宅宿泊管理業者を配置
3)2ヶ月毎に都道府県知事に報告が必要
1)は営業日数の制限です。毎年4月1日正午から翌年の4月1日正午までの1年間を計算期間とし、宿泊日の正午から翌日の正午までを「1日」と定義しています。
例えば、ユーザーが15時にチェックインして、翌日の11時にチェックアウトしたと仮定すれば、これは通常1泊2日に当たりますが、民泊上では1日とカウントされます。そして、年間180日の営業日数が新法上の上限となりますが、実際には自治体毎に制定されている民泊条例により、営業日数上限が180日よりも短縮される可能性があります。
例えば、避暑地としても名高い長野県軽井沢町では、大型連休のある5月や夏休み期間などが重なる7~9月にかけては、民泊を全町で禁止しています。
また、住宅専用地域内ではホスト同居型を除き、月~金曜日は民泊ができないという条例です。営業期間がこの4か月間を除く週末のみと想定すると、実質年間70日前後となります。また、軽井沢以外にも民泊を一切禁止した自治体や、マンションなどの場合は各々の管理規約で民泊利用を禁止していることもあるため、注意が必要です。
2)は、民泊施設には基本的にホスト、または管理業者の在宅を義務付けることを指しています。管理業者はユーザーへ民泊施設の利用方法説明や宿泊者名簿の作成などを代行し、近隣住民からの苦情などに対する駆け付け対応に関しては別の業者へ再委託可能です。
とはいえ、ホスト自身は民泊を行う上で管理業者に丸投げして何もしなくていいということでなく、ユーザーとの宿泊契約のやり取りや民泊施設に必要とされる標識の掲示、宿泊日数の報告は自らの責任で実施しなければなりません。
3)に関しては、偶数月15日までに過去2ヶ月分の宿泊日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳を報告することが定められています。民泊新法での事業可能性ということでは、年間180日が大きなネックとなりそうです。
宿泊期間をハイシーズンに限定することも1つの手法ですが、観光で誘客している自治体に民泊を規制される可能性も高く、注意が必要です。今後は民泊を営むエリア選定や、年間を通してどのように活用していくかというスキームが重要となるでしょう。
住友林業が民泊参入へ、百戦錬磨と連携
ハウスメーカーの中では住友林業がいち早く、民泊参入に名乗りを上げました。2017年12月には、民泊のプラットフォーム事業を展開する百戦錬磨との業務提携契約を締結しています。
この7月、大阪市内に同社初の民泊物件となる「フォレスティ心斎橋」がグランドオープンしました。百戦錬磨が運営を担当し、住友林業が物件をリノベーションしています。この物件は国家戦略特区に指定されている大阪市の西区南堀江に位置します。つまり、前述の年間180日間という縛りがなく、1年間民泊施設としてフル稼働可能です。
南堀江というエリアは近年、急増しているインバウンドに加え、観光や買い物に便利な立地であることから、国内外からの需要も見込むことができます。
用意している5部屋はそれぞれ異なる内装を採用しており、インバウンド需要を想定した和モダンな客室や、住友林業グループオリジナルキャラクター「きこりん」をモチーフとした部屋などを用意しています。
5室の内、1室はプレミアムルーム(201号室)としてワンランク上の部屋を設け、腰壁などにオーク材を使用するなど住友林業らしい木質感を演出しています。
また、プレミアムルームは「木の内装と間接照明の組み合わせが睡眠の質の改善や疲労の軽減に繋がる効果がある」という住友林業筑波研究所の研究成果を客室の設えに取り入れたことも特徴の1つで、睡眠の質を向上させる室内空間として訴求しています。
住友林業では、民泊施設第2弾として大阪市西区の阿波座で物件を仕込んでいるとのことで、特区民泊エリアを中心に民泊事業を展開していく意向です。
(情報提供:住宅産業研究所)