CONTACT お問い合わせ REQUEST 資料請求

BLOG

スタッフブログ

住まいの空間演出再考

商品・トレンド
2025.12.16

家づくりにおいて「空間演出」は、意匠としての見た目の良さだけでなく、
住む人の健康・心理・暮らし方に大きな影響を与えます。
特に近年では、外部環境とのつながりや光の使い方といった環境要素が
住まい手に与える影響を住宅の新たな価値として訴求している住宅会社も少なくないようです。


例えば、自然光を十分に取り込める住宅に住む人は、
満足度や幸福度が高くなるという調査報告が複数出ています。
また、緑や外部空間を感じられる住環境は、ストレスの軽減や心の安定に寄与すると言われています。
今回は、外部空間や自然とのつながり、光と人の気持ちの関係について、
その効果や実際に取り入れる方法を紹介していきます。


外部空間や自然をいかに取り入れるか


外部空間や自然を住宅に取り込むことの効果は、開放感やデザイン性の向上に留まりません。
採光・通風の改善、ストレス軽減、生活動線の豊かさなど、多方面に効果があります。


まず取り組みやすいのは「視線の抜け」のデザインです。
大開口が難しい都市部でも、庭や通りに面していない方向へスリット窓を設けたり、
ルーバーを用いて視線を通しつつプライバシーを確保したりすると、圧迫感は大きく軽減されます。
有名な建築で言えば、安藤忠雄氏の「住吉の長屋」は、
中庭という最小限の外部空間で光と風を取り込み、閉鎖的な敷地条件を逆手に取った好例です。
特に近年は、一般的な住宅でも中庭を採用する事例が増えており、
外部空間を内包することで、採光・通風・プライバシーの問題を同時に解決できます。


次に「植栽計画」です。
常緑樹は目隠しや年間を通した安定感、落葉樹は夏の遮熱・冬の採光という機能的役割を持ちます。
また、狭小地では壁面緑化や鉢植えのような、点での植栽でも効果があります。
こういった植栽計画を、メンテナンス性まで含めて提案できるとよいでしょう。


さらに「内外の連続性」をデザインする方法があります。
深い軒を設けた半屋外的なデッキ空間、透明度の高い建具などは、
屋内にいながら外部を感じられる曖昧な境界を生み出します。これは単なる演出ではなく、
実際に滞在時間の増加やリビング中心の生活導線の形成につながる、実用的な設計手法です。


外部環境とのつながりは、豪華な設備がなくても価値を生むことができる、体験のデザインと言えます。
限られた敷地条件でも実現できる方法は多く、提案力の差が会社の魅力に結びついてくるでしょう。


光は人の気持ちを左右する?


光は、空間を照らすだけの要素ではありません。
人の体内時計(サーカディアンリズム)は光量と色温度によって調整され、
睡眠の質、集中力、さらには気分にまで影響を及ぼします。
自然光が豊富な建物で働く人は、生産性が高まり、
ストレスが減るという研究結果も多く報告されています。
住宅が「健康を支える環境」として見られるようになった今、
光環境の設計は住宅会社にとって非常に重要な価値提案になっています。


光を設計するとき、まず意識したいのは「どこから光を取り込み、どう室内に届けるか」という点です。
南側は季節によって光量が大きく変動し、冬の日射取得には理想的ですが、
夏場の直射は暑さの原因にもなります。
逆に北側は安定した柔らかい光が入るため、ワークスペースや読書スペースに最適です。
トップライトやハイサイドライトを併用すれば、建物の奥まで自然光を届けやすくなり、
都市部の狭小住宅でも光環境を改善できます。
中庭の採用も、外からの視線を避けながら光と風を確保できる手法として効果的です。


また、光の「質」にも配慮することで、住まいの心地よさは大きく変わります。
直射光は眩しさや温度上昇を招きやすいため、庇の出寸法や外付けブラインド、
ルーバーなどで調整することで、柔らかく拡散された光を室内に入れることができます。
さらに、室内の壁・天井・床の反射率を適切に確保すると、
自然光が室内を均一に回り、少ない光量でも明るさの質が向上します。
照明器具の選定においても、昼は高色温度で活動的に、夕方は低色温度で落ち着きをつくるなど、
時間帯に合わせた光の演出が生活リズムの安定につながります。


最近は、時間の経過に合わせて色温度や照度が変化する「昼光模倣照明」の研究や実用化も進み、
睡眠の質改善やメンタルヘルスへの効果も報告されています。
仕事・家事のストレスを溜め込みがちな共働き世帯や、
健康に不安を抱える高齢者の暮らしを支える技術として、今後さらに注目される分野です。


住宅会社として重要なのは、施主の生活リズムや「どんな時間帯をどう過ごしたいか」を丁寧にヒアリングし、
それに合わせて窓の取り方、庇の設計、反射率の高い内装材の提案など、
建築そのものがつくる光環境まで踏み込んで提案することです。


光は空間の雰囲気を決めるだけでなく、住む人の心理や行動に深く関わる、環境設計の核心と言えます。
器具の選定にとどまらず、建物全体で光をデザインする視点を持つことで、
提供できる住体験の質は一段と高まるでしょう。



(情報提供:住宅産業研究)

OTHER BLOGS

他の記事も見る

一覧に戻る

NEW BLOG

/新着記事

CATEGORY

  • 資金計画
  • 市場動向
  • ハウスメーカー
  • 耐震・制震・免震関係
  • バックナンバー
  • なぜ無料なのか
  • MBA
  • 経営・人材育成
  • IoT/AI/VR関係
  • 工務店MBAとは?
  • 集客・マーケティング
  • 太陽光/省エネ/ZEH関係
  • 営業・接客
  • 商品・トレンド
  • HP・WEB関係
  • 業界ニュース
  • 心理学
  • 目標達成
  • マインドセット
  • コミュニケーション
  • リフォーム・リノベーション