“自宅が空き家になる前に…”これから実家の相談案件が増える?
全国で空き家が増加、法改正の対応進む
総務省が5年毎に実施する「住宅・土地統計調査」によると、
直近2023年時点で空き家は全国に900万戸あるとされています。
空き家率ということでは13.8%と、いずれも過去最高の数値です。
この900万戸の空き家の中には、
「賃貸用の空き家」や「売却用の空き家」といった市場に出ている物件や、
別荘やセカンドハウスなどの「二次的住宅」、そして、
いずれにも属さない「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」
(以下、「その他空き家」)があります。
最も問題視されているのは「その他空き家」で、誰も住んでおらず、
管理すらされていない可能性の高い空き家が該当し、これは全国に385万戸あるとされています。
「その他空き家」が増えることによる近隣への悪影響は深刻です。
空き家に無断で侵入されたり、物品が盗難されたりと犯罪の温床になることもあります。
その他空き家オーナーには早急な対応が求められています。
行政としてもこれまで、空き家対策を様々打ち出してきました。
まず、2014年に施行された「空家等対策特別措置法」。
倒壊の危険性の高い空き家や、ごみの投棄や建物の腐朽によって街の景観を害する空き家を、
「特定空き家」と指定することとしました。
特定空き家に指定された場合、
住宅が建っている土地に対する固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
空き家の所有者に対して、適切な管理や活用を促すことが目的の法律です。
そして2023年には、「空家等対策特別措置法」の改正もありました。
このトピックの一つが、管理が不十分な空き家を「管理不全空き家」として分類し、
「特定空き家」と同様に固定資産税の優遇措置の適用除外となりました。
空き家の問題を難しくしていることの一つには、
所有者不明の物件が多く存在していることも挙げられます。
自治体が対応したくても所有者が分からず、手を付けられない物件も多く存在します。
国交省が2017年度に実施した地籍調査において、全国約62万筆の土地を対象にしたところ、
所有者が分からなかった土地が筆数ベースで全体の22.2%に上りました。
登記情報が更新されないが故にこの筆数が増えていると見られ、
この多くは相続登記が未完了だったとのことです。
登記が義務化されていないことが大きな原因と言えます。
こうした状況から、2024年4月には相続登記が義務化されました。
相続開始および所有権を取得したと知った日から
3年以内に登記申告することを義務化しています。
この年数を過ぎてしまったり、違反した場合には
10万円の過料が課せられる可能性があります。
義務が発生するのは相続後と言っても、
被相続人が亡くなってからの準備では遅いかもしれません。
土地や建物といった不動産や預貯金が絡む相続は、
話し合いが長期化するケースが少なくありません。
生前からの準備が重要です。
空き家問題解決の第一歩はエンドユーザーの意識改革必須
空き家問題の解決の第一歩は、所有者の意識改革です。
「いつか、そのうち…」という気の持ちようでは結局のところ対策を打てず、
いつの間にか近隣住民にとって迷惑な「特定空き家」になってしまうかもしれません。
実家をどうするかの家族問題は尽きません。
相続したとしても売却しない限り、毎年固定資産税を払う必要があります。
建物は時間とともに朽ちていき、庭には雑草が生え、伸びていきます。
今では買取再販最大手のカチタスなどが買い取ってくれるケースもあります。
しかし、リフォームでも再生が難しいほど腐朽した建物は、売却も難しくなります。
早期に手を打つことが重要です。
自身で所有したまま、賃貸住宅として活用することも選択肢の一つです。
場所によっては商業利用も可能かもしれません。空き家を「地域の一部」と捉え、
周辺住民の役に立つ建物として運用していくことを検討してもいいでしょう。
空き家をリフォームして賃貸に出したり、住宅以外で商業利用をしたり、
更地にして宅地として活用したり、活用方法は多岐に亘ります。
そしてこのような空き家活用ニーズが発生した際は、
地域の環境や住民の特性に精通した地域密着型のビルダー・工務店の出番となるはずです。
(情報提供:住宅産業研究)