SNSにおける動画コンテンツ
ルームツアー、会社紹介は定番
住宅業界でも広告宣伝活動にSNSを用いることはすっかり定着しました。
特に、YouTube、Instagram、TikTokといったプラットフォームで、
動画コンテンツを活用することが最近のトレンドと言えます。
今回の配信では、住宅会社がどのような動画コンテンツを活用しているか、その例を探っていきます。
住宅会社の動画コンテンツの中で、定番となっているものの1つがルームツアー動画です。
完成した住宅をスタッフやナレーターが案内しながら紹介する形式のルームツアー動画は、
写真や図面では伝えきれない空間の広がりや質感、動線の工夫などを、
リアルに伝えることができます。
また、お客様の「モデルハウスは素敵だけど、実際の住宅はどうなのだろう」
という疑問の解消にもつながります。
大手ハウスメーカーのヘーベルハウスは、
お笑い芸人のパンサー尾形氏を施主として理想の家づくりを行うという取り組みを行っており、
2025年5月末には尾形氏が自宅のルームツアーをYouTubeに投稿。
投稿から2週間で70万回を超える再生回数となっています。
その動画は尾形氏の他の投稿動画と比べてもかなり再生回数が多くなっており、
人々のルームツアーへの注目度が高いことが分かります。
ビルダーでルームツアーを上手く活用している1社が、愛知県のホームランディックです。
ビルトインガレージを設けた住宅、
建築家の自邸などといった豪華で見ごたえのある住宅のルームツアーを多く投稿しており、
再生回数は多いもので100万回を突破しています。
ルームツアーをきっかけに同社のことを知る人も多く、富裕層の捕捉に役立っているようです。
ルームツアーのほかのもう1つの定番が、会社紹介動画です。
社長や社員が登場して会社の理念や強み、社内の雰囲気を伝えることで、
企業としての信頼性や安心感を高める効果があります。
採用活動にもつながるため、多くの住宅会社が積極的に制作しています。
会社紹介動画は、ルームツアーに比べると再生数が稼ぎやすいものではありませんが、
丁寧に作成すれば応用が利くものだとも言えます。
自社のホームページに埋め込んでも良いですし、お客様の初回接客時に
「弊社ではこういった思いを持って家づくりをしています」とお見せしても良いかもしれません。
お客様へのインタビュー動画や啓蒙活動なども
定番のルームツアー動画や会社紹介動画に加え、
お客様インタビュー動画や啓蒙活動系コンテンツも増加してきています。
これらの動画は、信頼の醸成やブランド価値の向上に寄与する効果が期待できます。
インタビュー動画は、実際に家を建てた方のリアルな体験談を伝えるものです。
住まいの満足ポイントや、家づくり中のエピソード、
会社を選んだ決め手などを語っていただくことで、
視聴者は自分ごととして共感しやすくなります。
営業トークでは伝わりにくい信頼感や納得感、安心感を
等身大の声から感じ取ってもらうことができます。
例えば最近は、InstagramのリールやTikTokを活用し、
「マイホームの後悔ポイントTOP3」や「家づくりで助かったアドバイス」など、
お客様の実体験をショート動画で発信する例が散見されます。
リアリティのある声は、検討中のユーザーにとって貴重な情報源となり、
「この会社なら信頼できそう」という気持ちを後押しします。
前述のルームツアーと合体させて「施主インタビュー付きルームツアー」のように
するのも良いかもしれません。
啓蒙活動系コンテンツもじわじわと広がっています。
これは、家づくりに関する基礎知識や注意点、
制度改正、省エネ・断熱性能といった専門的なテーマを分かりやすく伝えるものです。
特に最近は、建築コストの上昇や補助金制度の複雑化、カーボンニュートラルに向けた基準強化など、
家づくりを取り巻く環境が大きく変化しているため、消費者は正しい情報を求めていると言えます。
そこで、専門家が登場する解説動画や、
アニメーションを使ったミニ講座形式の動画などが注目されています。
例えば「住宅ローンの基礎知識」「断熱性能ってなに?」
「子育て世帯が知っておくべき補助金制度」など、
住宅にまつわる不安や疑問に丁寧に答えるスタイルが支持されており、
企業の信頼感・専門性をアピールする手段となっています。
こういった動画は、視聴者にとって役立つ情報源として認知されるだけでなく、
住宅会社の姿勢や価値観を自然に伝えるツールにもなり、
ファンの獲得や集客につながることも考えられます。
紹介したように、SNS動画コンテンツの幅は広がってきています。
その中で「どう伝えるか」も重要になってきていることは忘れないようにしたいところです。
ターゲット層に合わせたストーリー構成、テロップや音楽の工夫、テンポ感などにも配慮することで、
離脱率を下げ、記憶に残る動画となるよう工夫をしていきましょう。
また、1分未満の短尺動画と長尺動画をうまく使い分けることも大切です。
(情報提供:住宅産業研究)